下の写真はトロリーバスのなか。木製の椅子はかたく座りここちはよくない。

車内はこんなふうにいつも満員だ。トロリーバスの窓は大きく眺めがよく混雑することをのぞけば、

なかなか楽しい乗り物だ。

ロシアの子供たちは奇麗な子が多い。大人のなかには写真を極端に嫌う人間がいる。すぐに、

何のために撮るんだ、と不快な顔をすることが多い。

かつてソ連時代の、監視に対してのアレルギーだろうか。

トロリーバスに乗る少女にカメラをむけたが自然な態度で気持よく撮影できた。

街の中心街にある地下道の入り口。大きな地下街ではないが、いくつかの商店が地下通路に軒をならべている。

上の写真の階段の途中に座り込んで物ごいをする乞食の親子の写真。

暖かいこの季節は心配ないとして、寒い冬にはどんな生活をしているのだろうか。

ソ連時代には考えられなかった状態だ。何人かの人々に話しを聞いたが、

それぞれ過去と現在の境遇によって意見はばらばらだ。若い人はもちろん今の状態を歓迎している。

下の写真がトロリーバスのターミナル。街の中心街だ。

最近流行の洒落たコーヒーショップにウラジオストクで良く見かける、

体格のよい若い男が、座っていた。不思議なことに街で見かける、携帯電話を片手に、

なにやらビジネスをする男たちは、一様に体格がよい。

ガイド氏にいわせると、すぐ冗談にマフィアだという。マフィアにもいろいろあって、

成功したビジネスマンのこともそう呼んだりするが、目の前に座る、

朝食を取る若い男がビジネスマンとは思えなかった。

彼のテーブルには携帯電話と車の鍵がいくつか転がっていた。

僕は興味があり、インタビューをこころみるべくALEKSEY君に通訳を頼んだ。

するとその若い男は露骨にいやな顔をして、「NO.」といった。

ALEKSEY君は、粘ってくれたが、結局「だめだ」と肩をすくめた。

僕はそれを無視して、「ねえ、車何乗っているの?」と聞いた。

「日産セフィーロ」と答えた。僕が窓の外をみると、

道路の反対がわにガンメタリックのセフィーロが、路肩に乗り上げ止まっていた。

「あの車でどのくらいスピードだした?」

「180キロ」「どこでだしたの?」「飛行場に行く途中」

「年はいくつ?」「22歳」「なんの仕事してるの?」「学生」

「どこで買ったの?」「富山」「いくらしたの?」「40万」

と、店のなかに彼が待ち合わせしていたのだろう、やはり体格のよい男がやってきた。

雑談はそこで中断。彼は立ち上がり男とレジに向かった。

僕は彼に「スパシーバ」と、手を振った。彼も少し口元をゆるめて手を上げ答えてくれた。

二人の男はコーヒーショップからでると、道路の向かいの駐車場に向かった。

そこには三菱バジェロが止っていた。体格のよい男は運転席にすわり、

助手席に乗った彼となにやら話し込んでいた。そして、彼が降りると、

パジェロは勢いよく飛び出して行った。彼は、自分のセフィーロに乗り込み発進した。

その二台の車とも、ナンバープレートがついてなかった。

彼等は二人ともカー・ブロカーだろう。資金はだれがだしているかはわからないが、マフィアかもしれない。

ただのビジネスマンかもしれない。学生と名乗った若い男は、実際富山に行って買い付けにいったようだ。

日本の街は新潟と富山しか知らないと答えた。

今、ウラジオストクはさまざまなビジネスチャンスがある。

その一つに日本の中古車の輸入がある。若い彼のような連中が、

アルバイト感覚でこういつ商売を支えているのかも知れない。

ALEKSEY君は今乗っている、トヨタクレスタを横浜で5万円で手にいれたという。

船で送り、輸入するさい、税金で25万円も取られたという。