2000年4月の記事年4月
プロ用デジタルカメラ(正確にはデジタルカメラバックという)Leaf Cantareを使用して
TWILIGT-TWISTを試してみた。通常のデジタルカメラの弱点は、長時間露光ができないということだ。
しかしこのLeaf Cantareという、Hasselblad(他にMamiya,Fujiにも)に対応したデジタルカメラバックは600万画素、
一色あたり14bit/pixel、そして冷却装置を持ちCCDサイズが(2043x3072ピクセルCCD)35mmフルサイズ程もある。
しかもなんといっても1/1000〜32秒もまでもカバーしていることが特徴だ。今回のような、
ペンライトを使用した長時間露光撮影は、通常のデジタルカメラでは全く不可能だ。
なにしろ撮影は10秒から20秒の露光時間をかけて撮影している。
デジタルカメラの弱点は長時間露光にあるわけだから。だからこのLeaf Cantareはこのような撮影ができる、
現在唯一のカメラだ。感想は、写真を撮るという作業事態、銀塩写真となんら変わることがなかった。
違っていたのは、すぐに最終原稿が見られるということであり、現像を待つという、
ひとつの情緒的なものがなくなったことだ。そして瞬時に撮影した原稿ができあがるので、チェックはすみやかにできる。
しかもそれがカットとしては最終原稿であるわけなので、撮影のOK出しが、
その現場にいる全員に平等に公開されてしまう。セレクションがカメラマンの個人の意思というよりは、
その現場にいた全員の総意になる可能性がある。冗談のように言えば、カメラマンはただのセンサーのようになり、
モニターを見ているディレクターが、写真の意思決定権を持つようになる可能性がある。カメラマンは写真家ではなく、
テレビ局のオポレーター・カメラマンのように、たんにフレーミングするる、肉体的技術者になる可能性もある。
現在の問題点はカメラの価格の問題だけだ。このカメラは350万円もする。いくらフィルムをつかわず、
その分が経済的といっても、今の状態では減価償却するには、個人では無理だと思う。ただ、
近い将来、このレベルのデジタルカメラがリーズナブルになれば、
確実に銀塩写真の90%はなくなることは目に見えている。技術的にはすでに銀塩写真と同等のレベルまできている。
残された課題は経済学だけだ。ただ写真を撮るという作業は、今までとなんら変わらず、
クリエイティブな部分では今よりも広がるので、より自由な表現が可能になると思う。
ただ、銀塩写真が完全になくなることはないと思う。それは写真の歴史の問題であり、
写真のたった170年の歴史であっても、表現からいえばすでに銀塩写真で大筋は完成しているからだ。
いくらデジタルで自由に表現をアレンジしたところで、写真を撮るという、究めて写真的な、
撮るという作業は何ら変わることがないからだ。だから最後まで、モノクロームの銀塩写真は、
細々とながらも生きのびると思う。かつて写真表現を創造した偉大な先人たちと同じ土俵で生きていたいのならば。
と、言っても実は確実にデジタルに世の中は流れている。それは、世界的なエコロジー、環境問題の流れだ。
水を汚してしまう銀塩写真は、これからますますコスト的に窮地に追いやられるだろう。
そして、フィルムを使わないデジタル写真の優位性は、経済学としても圧倒的に勝利するだろう。
その結果、銀塩写真は、「銀塩写真」というジャンルに封じこめられるだろう。
まあ、古典芸能のように、守られるかもしれないが。
この詳しいレポートはCOMMECIAL PHOTO SERIESのDG[デジタルグラフィティ]の
10号、(2000年4月発売)で紹介している。印刷特性などはそちらで確認してほしい。
Model :Lana (Red Models) Stylist: Masako Kato Hair&Make-up :Tomoko Sato
Hasselblad 553EL 50mmf4.0 Leaf Volare Digital Camara back
15sec.f=5.6 TwilightTwist
(この2点の写真は基本的にデジタル処理はなにもしてません)
Canon Eos D60について
■2003年7月
デジタルカメラの進歩はめざましい。5月28日から7月21日まで開催された
写真展「サイゴンの昼下がり 94−03」の作品は、94年から2001年まではアナログカメラを使用しているのだが、
2002年、2003年の写真は全部デジタルカメラD60で撮影したものだ。
アナログはスキャニングしてデジタルデータに、デジタルカメラで撮影したものはそのまま、
全てを「デジタル銀塩プリント」ラムダでプリントした。まさにデジタルと銀塩の融合だ。
そしてその作品のできばえは、まさに通常の銀塩カラープリントは遥かに超えたできばえだった。
その辺のことは、そちらのサイトに詳しく書く予定。
■2003年4月
現在私は、Canon D60をメインに使用しています。
受光素子がほぼAPSサイズ、630万画素の現在のスペックは、ほぼ満足しています。
カメラの性能は1Dsなどと比べると劣ってますが、ラージファインモードでJPEG 18メガバイト。
ほぼ35mm銀塩フィルムに匹敵してます。解像度などは勝っている面もあります。
新しく10Dが発売されました。価格も19万円台。性能はD60と同じかよいぐらい。
もうデジタルだとかアナログだとかを論じることがばかばかしいぐらいの次元になってます。
できれば600万から800万画素ぐらいで、35mmフルサイズのカメラがでると、それも10万円台が理想です。
1Dsは1100万画素。コダックのは1200画素。残念ながら私は今、それほど魅力を感じてません。画像がぬめっとしすぎて
ブロニーサイズのフィルムで撮ったようになってしまうからです。
写真は克明に記録されればいいとは限りません。撮りたい主題より、ディテールや質感ばかりが目立ち、
かえって面白い写真にならないことが多いからです。
ポラロイドのようなハイコーリティではない写真のほうが魅力的に感じることと同じです。
それとなんといっても1200万画素クラスのカメラと、現時点のパソコンの相性がまだまだだからです。
パソコンのスピードがあと一世代いや、二世代ぐらい上がってくれないと、かったるくてやってられません。
600万画素クラスでも時々遅くていやになります。
D60 の少し大きめの写真●D60 in Vietnam 2002 No.1
D60 EF24mmF1.4 Jpeg Large fine Saigon Vietnam 2002