■1975年9月、26歳。フリーになって最初の仕事は、講談社,少年マガジンのグラビアだった。
新人のカメラマンとしては大抜擢だ。モデルはやはりそのとき新人女優の池上季実子16歳。
スタイリストは今も現役で活躍する中山寛子。ヘアメイクなし。
当時、少女タレントはほとんどノーメイクで撮影した。このときもたしか唇に紅をさすぐらいだ。
いやたぶん、スタイリストの中山さんが、軽くメークをほどこしたのかもしれない。
撮影場所は秋田県の角館。お祭りのカットが欲しかったので、そのときやっていたのが、
そこだったのだ。
ぼくと編集者の森山蓉二さんとアシスタントはロケハンをかねて前日のりこんだ。
森山さんが、取材費を現金でたくさん持っていたので、プレッシャーを感じた。
そんな大金みたことがなかったからだ。ぼくのために?……。
そういうわけじゃないけど、ぼくもプロになったのだなって気がひきしまった。
翌日池上さんたちが乗り込み、もう一泊して撮影した。デビュー作としては、満足するできだった。
このとき、この写真に詩をつけてくれたのが、今は大御所の作詞家、松本隆氏だ。
この原稿を依頼するため、編集者と一緒に撮影した写真を持参して彼の自宅まで訪ねていった。
最近の即物的なグラビアとちがい、なんか文学的だ。
■構成/鶴本正三
■stylist/KANKO NAKAYAMA
■Canon F1 FD24mm f=2.8 FD50mm f=1.4 FD100mmf=2.8 FD200mm f=2.8
kodacrom ・