1975年の暮れ、少年マガジンの第2作目は、
当時センセーショナルにデビューした岩崎宏美だ。
アイドルとして歌手としていまのタレントからは考えられないような、
過密なスケジュールをこなしていた。少年マガジンでとりあげるについて、
アートディレクターの鶴本さんが、モノクロームでやりたいといいだした。
カラーだったら7pだけど、2色のモノクロだったら15ページできるというのだ。
しかしもらえる時間はたったの3時間。テーマは彼女の生まれた、
下町木場だ。その日、予定とは違い彼女は府中の撮影所にいた。
それでは移動に一時間。正味2時間で、15ページの撮影をすることになってしまう。
おおきなプレッシャーだったけれど、やるしかなかった。
衣装は3点。スタイリストは新人スタイリストの、関弘子だった。
アシスタントを、まだ学生だった五味彬君がやってくれた。
2時間のあいだひたすら飛び回って撮影した。
ロケハンは十分にしてあったけれど、衣装替えをいれて2時間はさすがに厳しく
場所は二ケ所しかつかえなかった。それでも走ったり、とんだりと、すばやくとったので、
スピードあふれる写真になったと思う。
撮影後、今回の詩をだれにかいてもらおうかということになり、
面識のあった荒井由実(松任谷由実)に依頼した。
彼女は快諾してくれて、すばらしい詩をつけてくれた。
ぼくはこの作品を今でも傑作だと思っている。
■構成/鶴本正三 レイアウト/ツルモトルーム
■stylist/HIROKO SEKI
■Canon F1 FD24mm f=2.8 FD50mm f=1.4 FD100mmf=2.8 FD200mm f=2.8
TRI-X