29 Sep.1995 Odaiba Tokyo

 都市博がまだ中止前のお台場。モデルは英姫。あたりは一面工事中だった。
 こういう殺伐とした景色がなぜか僕は一番すきだ。背景に工事中のフジテレビが見
える。自動車雑誌NAVIの別冊として創刊された「OP」という雑誌のために撮った写真。
フィルムはポラロイドのtype55。このモノクロームの4X5ポラロイドフィルムにはネガ
がついている。そのネガからプリントした写真だ。現在使いやすい4X5のモノクロー
ムのフィルムがなくなってしまった。だから僕はほとんどtype55フィルムを使っている。その
ため、外国に行くときも、ヴェトナムにだって、
現場で高膜処理するため、タッパウエアに無水亜硫酸ソーダを
用意してゆくことになる。あまり丁寧にあつかわないので、
傷がついたり、むらになったり、
条件によってはソラリゼーション(反転ムラ)が起きたりする。
阪神大震災(No.31~35)の取材の時までは、カラーの4X5フィルムのテスト用だったので
その貴重な、ポラロイドのネガを、なんたることか捨てていた。
丁寧な高膜処理する余裕はないからだ。ところが、阪神大震災の写真を
ポスターにする際、わざと傷をつけた。そして傷ついた写真のリアリティに
僕は目から鱗がとれる状態だった。
傷ついたって、むらになったいいじゃないかと。
それ以降ぼくは、普通の撮影の流れのなかでポラロイドのネガを扱っている。
不思議なことに、そうとう雑にあつかっていても、慣れてきたせいだろう、
美しいネガがいつでもできるようになった。

リンホフテヒニカ スーパーアンギュロン65mmf8 
フィルムはポラロイドのtype55
 
30 Sep.1995 Odaiba Tokyo

 工事中のゆりかもめの高架下。
今はこの場所でこんなふうに撮影することは不可能だ。
 リンホフテヒニカ スーパーアンギュロン65mmf8 
フィルムはポラロイドのtype55